2015年度第2回例会は、12月12日(土)に東京大学農学部弥生キャンパスの弥生講堂にて開催されました。前日の荒天から一転して穏やかな陽気に恵まれ、118名(一般60名、学生58名)の参加者を迎えて盛会となりました。

 関東支部長の西村敏英先生による開式の挨拶に続いて、前半の部では3件の受賞(記念)講演を開催しました。第105回日本学士院賞を受賞されました吉田稔先生(理化学研究所)「真核生物特有の遺伝子発現制御機構に作用する天然生理活性物質の発見とその応用研究」、並びにInhoffen Medal賞を受賞されました長田裕之先生(理化学研究所)「抗生物質研究を起源とするケミカルバイオロジー研究」のご講演は、いずれも微生物の代謝産物に由来する天然生理活性物質の発見と応用研究に関する内容で、ちょうど2015年ノーベル医学生理学賞を受賞された大村智先生の分野とも関連が深くタイムリーなものとなりました。続いて、2015年度農芸化学奨励賞を受賞されました高野英晃先生(日本大学)「一般細菌が示す多様な環境応答の分子メカニズムに関する研究」のご講演では、細菌の光応答に関わる分子メカニズムに関する丹念な研究成果について解説され、今後のご研究の進展が期待されました。

 休憩をはさんで後半の部では、「微生物代謝の制御とデザイン」と題するシンポジウムを開催しました。東京大学の新井博之先生「呼吸システムの多様化による緑膿菌の環境適応」のご講演では、呼吸システムの多様化によって細菌が酸素環境に幅広く適応するしくみについてお話いただきました。千葉大学の梅野太輔先生「イソプレノイド・カロテノイド生合成経路の実験室内進化」のご講演では、生合成経路のデザインにおける現状の問題点とそれに対する処方箋についてわかりやすく解説いただきました。理化学研究所環境資源科学研究センターの中村龍平先生「電気化学を用いた微生物の代謝計測と制御」のご講演では、微生物学と物理化学が融合した「ElectroEcology」という新しい分野について最先端の内容をお話し頂きました。いずれの発表も大変興味深く、活発な議論が行われました。

 例会後、弥生講堂ロビーにて行われた懇親会では、講演者6名のほか40名のご参加をいただき、例会に引き続き講演者と参加者との間で活発な議論と情報交換が行われ、とても有意義な例会となりましたことを報告いたします。

(古園さおり)

会場の様子

西村支部長の挨拶

吉田稔先生の学士院賞受賞記念講演

長田裕之先生のInhoffen Medal賞受賞記念講演

高野英晃先生の受賞講演と質疑応答の様子

 

来場者の様子

古園幹事によるシンポジウムの趣旨説明

新井博之先生、梅野太輔先生、中村龍平先生によるシンポジウム講演

来場者の様子

懇親会の様子

案内ちらしのPDFファイル

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