2014年度関東支部第1回例会は、五月晴れの清々しい5月24日(土)に東京大学弥生講堂一条ホールにて13時より開催され、100名を超える参加者を迎えることができました。

 2件の受賞講演の内容に合わせ、微生物代謝をテーマとして、文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究「生合成マシナリー」との共催でシンポジウムを行いました。多くの参加者からレベルの高いサイエンスの講演が聞けたと好評をいただきました。開催にあたりご協力を頂きました皆様に深く感謝申し上げます。

 まず、2014年度農芸化学奨励賞を受賞されました、古川 壮一氏(「食品関連微生物が形成するバイオフィルムの制御と利用に関する研究」 日本大学生物資源科学部)に引き続き、田畑 和彦氏(「ジペプチド発酵技術の開発と工業化」 協和発酵バイオ株式会社)の2名の受賞者による受賞記念講演を行いました。両氏には、受賞対象となった研究内容について分かりやすくかつ詳細にご紹介頂き、会場からは積極的に質問があり活発な討論が行われました。

 休憩をはさんで、シンポジウム「微生物の多様な代謝メカニズムと精巧な生合成マシナリー」と題して4名の先生方にご講演を頂きました。

 まず、浅水 俊平先生(東京大学 大学院農学生命科学研究科)に、「異属細菌による放線菌二次代謝産物の誘導」と題して、Tsukamurella属細菌などのミコール酸含有細菌が放線菌の二次代謝を活性化すること、またその現象には2種類の異種菌同士の接触が必須であるという興味深いご講演いただきました。続いて、宮永 顕正先生(東京工業大学 大学院理工学研究科)に「ポリケタイドの分子多様性を生み出す生合成酵素の構造と機能」と題して、細菌の生産するポリケタイド化合物のユニークな生合成マシナリーに関するご講演いただきました。二次代謝生合成酵素の結晶構造解析を通して酵素反応機構を精密に解明されたご研究に対して、参加者から質問が続きました。短い休憩をはさんで、勝山 陽平先生(東京大学 大学院農学生命科学研究科)に「特異なヘテロ環を持つペプチドの生合成」と題して、ユニークなペプチド化合物の生合成マシナリーと酵素反応機構をご紹介いただきました。そして、最後に高橋 俊二先生(理化学研究所 環境資源科学研究センター)に「リベロマイシンA生合成反応のin vitro再構成」と題してご講演いただきました。化学合成では難しい酵素ならではの特異的反応例と新規類縁体の創製研究をご紹介頂きました。限られた時間ではありましたが、すばらしいご講演に対し活発な質問があり、たいへん有意義なシンポジウムでした。

 例会終了後には、東京大学弥生キャンパス内の農学部生協食堂で懇親会を行いました。演者の先生方とのディスカッションに加え、参加者同士また学生も加わり様々な情報交換が行われた様子でした。

(葛山智久)

会場の様子

講演者の皆様と山崎眞狩先生(座長担当)

案内ちらしのPDFファイル

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