2016年8月30日から9月1日までの2泊3日で、静岡県の富士箱根ランドにて第10回昆虫ワークショップ(以降KWS)(代表者 東京大学大学院新領域創成科学研究科 永田晋治准教授)が行われた。参加者は延べ51名で、そのうち学生の参加者が30名(学部学生3名、大学院生27名)だったので、文字通り老若男女が合宿形式で寝食を共にして交流したワークショップとなった。

 発表は、口頭発表形式で、参加者のほぼ全員により3日間で40演題が発表された。このKWSは、もともと昆虫の脱皮変態の勉強会として発足し、昆虫の内分泌系の研究がメインであったが、発表内容はそれらだけでなく、発生、進化、形態形成など化学、生物学、数理学など多岐にわたるもので構成されており、参加者にとっては非常に勉強になったのではないだろうか。

 近年、昆虫を用いた研究では、次世代シーケンサーの開発や、RNA干渉法をはじめとしたTALENおよびCRISPER/CASなどのゲノム編集の技術が流通しているため、多くの研究が分子生物学的な手技によりその推進力を高めている。そのような趨勢の中で、若い研究者同士が、技術的にも研究内容的にもKWSを通じて情報交換ができたことは、非常に有意義だったのではないだろうか。ちなみに、交流会では2日間ほぼ夜通しの議論(?)が交わされたそうだ。

 また、すでに引退された東京大学名誉教授の鈴木昭憲先生、長澤寛道先生もご参加いただき、現状の昆虫研究の動向を踏まえた貴重な(厳しい)ご意見とご指導をいただいた。

 以上の通り、第10回昆虫ワークショップは、台風一過の中、大盛況のもと行われた。このKWSは今回で10回目を迎えたが、今後も数年毎に行うことを確認し、次回の開催は金沢で行われることとなった。この盛会も、日本農芸化学会関東支部のサポートがあったこととともに、この場を借りて深く感謝申し上げる。

(永田晋治)

会場の様子

発表風景

会場(富士箱根ランド)にて参加者の集合写真

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第10回昆虫ワークショップ