2013年10月18日(金)に東京農業大学世田谷キャンパスにて天然物化学研究会「天然物化学の潮流を読む」を開催いたしました。東京農業大学を含む首都圏の大学の研究者や大学院生など約60名の参加者が集い、3名の講師をお迎えして天然有機化合物の合成や単離構造決定、生物活性について議論いたしました。

まず、名古屋大学大学院生命農学研究科の安立昌篤博士より「多環式天然物の合成研究」と題して主にテトロドトキシン類の全合成に関して講演していただきました。現在までに知られている中で最も複雑な構造を有するテトロドトキシン類縁体であるチリキトキシンの全合成を紹介していただきました。
次に、東京大学大学院農学生命科学研究科の高田健太郎先生より「多彩な海洋天然物と共生微生物の関係」と題して主にカイメン動物から単離された生理活性有機化合物の単離、構造決定について講演していただきました。最近の成果として、共生微生物と生理活性物質との繋がりに関する研究内容をご紹介いただきました。

最後に、慶應義塾大学薬学部の庄司満先生より「環状骨格に魅せられた天然物合成」と題して多彩な環構造、生理活性を有する天然有機化合物の全合成に関して講演していただきました。いかに環構造を構築するかなどを中心として、マジンドリンやサイホスタチンなどの合成についてご紹介いただきました。

 特に、通常の学会では聴くことの出来ない研究で行き詰まった時のお話しや、そのブレークスルーについてもお話しいただき、大学院生など若い研究者にとって貴重な内容のきける講演会でした。3名の講師の先生には懇親会ではさらに活発にフリーディスカッションの時間をお取りいただき、天然物化学に関する研究者間の情報流通の場を提供することができ、有意義な研究会となりました。

(報告者:矢島新)

会場の様子

講演中の様子

安立昌篤先生

高田健太郎先生

庄司満先生

懇親会の様子
 

案内ちらしのPDFファイル

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