平成27年11月20日(金)に東京農業大学世田谷キャンパスにて第3回天然物化学研究会「天然物化学の潮流を読む」を開催いたしました。東京農業大学を含む首都圏の大学の研究者や大学院生など80名の参加者が集い、3名の講師をお迎えして天然有機化合物のケミカルバイオロジー、単離構造決定、全合成に関する講演をいただき、活発な議論が行われました。

 まず名古屋大学大学院大学生命農学研究科の中川優先生より「プラディミシンはいかに糖を認識しているのか?」と題して抗生物質に関する諸問題の説明と、プラディミシンのマンノース認識機構に関して講演していただきました。糖鎖を認識して抗菌活性を発現するプラディミシンの機能について様々なアプローチで糖との相互作用、結合部位の同定手法に関して紹介していただきました。
 次に、麻布大学大学獣医学部の紙透伸治先生より「真菌由来の新規生理活性物質の探索」と題してバラエティーに富んだ生理活性物質の単離構造決定について講演していただきました。どのようにして新規化合物を見つけるのか、どんな生理活性をもった化合物が得られてきたのかなど天然物化学の基本となる手法についてご紹介いただきました。
 最後に東京大学大学院薬学研究科の斉藤竜男先生より「海洋産ポリエーテル系天然物の合成研究」と題して複雑な構造を有する天然ポリエーテル類の合成研究に関して講演していただきました。世界最大の天然有機化合物であるマイトトキシンをはじめ、ポリエーテル環をどのようにして構築していくのかなどの合成手法についてご紹介いただきました。

 本研究会では先生方の研究に関する苦労話や、裏話、留学先でのお話しなどバラエティーに富んだ内容をお話しいただき、若い研究者にとって貴重な話題を提供していただきました。懇親会ではさらに活発にフリーディスカッションが行われ、幅広い年代の天然物化学に関する研究者間の情報流通の場を提供することができ活発な研究会となりました。

(森直紀)

会場の様子

講演の様子

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第3回天然物化学研究会