2014年11月21日(金)に東京農業大学世田谷キャンパスにて第2回天然物化学研究会「天然物化学の最前線を知る」を開催いたしました。東京農業大学を含む首都圏の大学の研究者や大学院生など約80名の参加者が集い、3名の講師をお迎えして天然有機化合物の単離構造決定、合成、ケミカルバイオロジーについて議論いたしました。

 本研究会ではまず宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターの謝肖男先生より「ストリゴラクトンの多様な構造と植物の言葉」と題してストリゴラクトンに関する説明と、多様なストリゴラクトンの構造に関して講演していただきました。様々な植物から見いだされたストリゴラクトン類の構造をはじめ、含有量が極めて少ないため単離構造決定が困難なケースをどう乗り越えたかなどご紹介いただきました。
 次に、東京大学大学院農学生命科学研究科の森直紀先生より「アザジラクチンの合成に挑んだ10年」と題して複雑な構造を有するアザジラクチンの全合成について講演していただきました。研究開始から10年以上の歳月をかけた研究内容を含め、合成完成までの長い道のりをご紹介いただきました。
 最後に東北大学大学院農学研究科の此木敬一先生より「天然毒を貯蔵する生物が獲得した解毒機構」と題して主にオカダ酸を含むクロイソカイメンがなぜ毒におかされないのかに関して講演していただきました。毒を利用するのか、あるいは排除するのか、生物の毒に対する耐性獲得の不思議についてご紹介いただきました。

 本研究会ではじっくりとご研究に関する苦労話や、裏話もお話しいただき、大学院生を含む若い研究者にとって研究を進めるうえで貴重な機会となりました。懇親会ではさらに活発にフリーディスカッションの時間をお取りいただき、幅広い年代の天然物化学に関する研究者間の情報流通の場を提供することができ活発な研究会となりました。

(勝田亮)

会場の様子

謝肖男先生

森直紀先生

此木敬一先生